Race Eye
1,000kmを走破した日韓2連戦。3年目の木浦も“K級グルメ食生活"に
2012.10.19

 日韓2連戦を終えて少しの間、自宅で日々過ごせるようになった。窓を開ければご近所の家の金木犀の香りがほのかに流れてきて、原稿を打ちながら初秋を感じている。

 よく走った日本GPと韓国GP、トータル1,000kmになるだろうか。鈴鹿には3日東京から自分の車で向かい、初めて新東名を利用しながら約400kmをノンストップ・ラン。帰りは祭日の8日に渋滞に巻き込まれながら400kmを途中ピットインして、N谷園の“静岡限定・サクラエビ茶漬け"をSAで購入。これは昨年見つけたモノでなかなかおいしい。巨大パッケージが目立つご当地の土産物だ。

 韓国には中1日で10日に飛び、その夜はソウル市内泊。少しでも木浦のラブリー・ホテルには泊まりたくないからだ。11日朝にギンポ空港でハーツのヒュンダイ・アバンテを借り約360q南下、途中迷い渋滞もあって5時間以上もかかった。今年の宿は「ホテル・ヴェニス」、カーナビを頼りにたどり着いたがどこにもヴェニスのべの字も見あたらない。迷った末やっと“F1公認看板"を見つけて、この12階建てのラブリーで淫靡で薄暗いホテルの駐車場入り口を発見。期待はしていなかったが3年目もやっぱり…、けっこうな料金を前払いの銀行送金で支払わされた挙句にまたこれか。なぜこの街にはビジネス・ホテルが1軒も無くラブリー・ホテルばかり林立しているのか、なぜ主催者たちはF1世界選手権イベントをこの環境で開きたがるのか、収益はとても見込めないのになぜ新規延長契約を結んだのか…。

 ほんとうに不思議な木浦に見えてくる。昔は日本との交流が盛んだったらしく、市内には日本家屋の名残を残しているところもあるとか。水産業が盛んな地だそうで名物はタコ、とにかくタコ料理の店がいっぱい、目に入る看板はタコだらけ。聞いたところでは造船業がかつては盛んで大資本ヒュンダイの拠点があり(サーキット背景にも映り込む)、それでドライバー達が泊まる唯一普通の“ヒュンダイ・ホテル"がその事業関係者のために作られ、ポツンとサーキットそばに1軒だけある。やっと少しわかってきた。

 ところで自分はタコやイカなど寿司屋に行くとカウンターでよく頼む。大トロよりもかんで味わうあの食感が好きだし、それにたこ焼きも明石焼きも大好きだ。でも木浦のタコ料理は見るからに不気味、そう思ってしまうとあの八本足の“ミニ怪獣"を食する気分にはとてもなれない。今年のホテル・ヴェニスの周辺はそんな海鮮食堂(?)ばかりで、皆さんがイメージするJ叙園みたいな焼肉屋さんなど全然ない。断っておくがなんでもあるモダンなソウル市内とは全く異なる長閑な一帯であり、誤解を恐れずに言えばこの御国の<地域格差?>を痛感する。

 恥ずかしながら韓国GP“K級グルメ食生活"を打ち明けよう。あたりをうろうろした木曜夜、一見ファミレス風食堂をやっと見つけた。2階に上がると客は僕らだけで店内は無人、とりあえずビールと言ってもその「ビール」が通じない。身振り手振りでビールを説明する自分がみじめになって、水をカウンターにくみに行く。メニューに写真があって助かり、迷った末に“焼うどん"をおばさんに注文。が出てきたのはなぜか“ピラフ風ライス"、まいっかこれで。この一品が空腹な自分にはうまかった。

 金曜はログハウス風のバーを見つけそこに恐る恐る入る。愛想のいいお兄さんが出てきたが英語はまるでダメ、メニューに写真は無くすべてハングル語。かろうじてソーセージと言う単語だけ通じたのでそれを注文、生ビールは店内ポスターを指差して無事ありつけた。お通しなのか頼んでいないスイートコーンと卵スープもどきが出され、これが微妙に優しい味だった。
こんな食生活でいいわけはない。でも土曜夜は深夜残業でまわりの食堂は10時過ぎには閉店だ。どうしよう、近くにコンビニの“Mストップ"を見つけそこでおにぎりと焼肉弁当らしきモノをチンしてもらい、うす暗い部屋でいただくことに。せめてもの慰みは羽田空港免税店で買ってあった“ブルゴーニュ赤ワイン"、飲みながらつまんでいたらけっこう肉の味がいいじゃんと自己満足。嗚呼、こんなんで喜んでいていいのか?

 日曜は完全徹夜の朝まで仕事。コンビニの弁当もとっくに売り切れているだろう。そうだ、部屋にコーヒーポットがあるから、ミネラルウオーターでよく洗ってから湯を沸かせばカップ麺が作れる。またまたコンビニに行きとにかく一番高いカップ麺を捜し、何が入っているか味付けも意味不明だが絵だけをながめあてずっぽうに選ぶ。
 それはうどんだった。一つは天ぷらもどき入りでもう一つは貝入り(?)。途中でもう嫌になってきてやめ、酒でごまかそうと羽田で買ってあったSトリー・ウイスキーを乾きものとともに飲む。しらじらと夜は明けてきて、ちょっと仮眠してからソウルまで帰り道を急がねばならないので、2杯程度でブレーキをかけた。

 15日昼過ぎに木浦から逃げるようにスタート、一目散ノンストップでソウル・ギンポ空港を目指す。幸いなことに4時間半で到着、レンタカー返却を済ませ、係員のお兄さんにプレス土産に配布された“2012韓国GPキャップ"をあげた。彼は一応英語も理解でき、木浦の若者たちの無愛想な態度とは違う。けっこうウケていた。
ボーディングまで時間的にちょっと余裕がありそうだから、何も食べていないので空港内レストランでたらふく食べようと、急ぎ足で行く。しかし食事メニューはカレーライス程度しかなく、セルフサービスで取ってきたそれはインスタントのKクレ・カレー甘口そのもの。そうくるかとやるせなくなるも、木浦から栄養失調気味で(?)パンツのウェストがユルユルになっていた自分はバクバクたいらげた。もちろん帰国便JALエコノミークラスの空弁も白ワインとともにきれいに食べ尽くした。

──「ここにいるとさっさと早く日本に帰りたい気分になりますよね」、金曜に小林君と雑談していて意見が一致。彼の第16戦はスタート直後、接触事故に巻き込まれ(VTRを何度も見直すとバトン追突前に周りから押されている)、結果としてワーストレースに。せめてもの救いは16周リタイアにより次はギアボックス交換が許され、エンジンも200km以上走行距離をセーブできたこと。終盤になってエンジン・マイレッジがきつく、ローテーションもタイトになっているだけにこれはプラス要素となる。早く終わってしまった木浦の戦い、小林可夢偉の最新動向やさまざまなニュース、チャンピオンシップについては次回に続く。

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