1月19日にフジテレビは2012年以降のF1中継に関する発表を行った。その概要はCS放送での全20戦すべてのセッション、予選と決勝の現地生中継は変わらず、BSデジタル放送(BSフジ)でも同日“ショート・ディレイ”の時間枠で視聴できるようにするというもの。しかし87年から続いてきた地上波チャンネルでの全戦放送は契約延長には至らなかった。
フジのF1は、昨年までに420戦以上が中継されてきた。これは1950年からのチャンピオンシップ全858戦のおよそ半分で、60年余を超えるF1の“半史”にも相当する。僕自身は87年の初年度シーズンから解説スタッフに加わり、開幕戦のブラジルGPでは日本で初めてのF1衛星中継を当時の野崎アナウンサーとともに務めた。その後は紆余曲折を経て、昨年までCS中継を現場に居て担当してきたのはご存じのとおりだ。
87年から数えて26年目に、この新しいフジF1放送体制が決まった。日曜深夜、地上波のチャンネルを合わせれば“爆走するエフワン”をオートマティックに見られた時代は、ひとまずリセットされることになったのである。地上波放送がなくなるのは、四半世紀にわたりフジF1中継に携わってきたひとりとしては非常に残念であり、身が切られるような思いである。と同時にBS放送によっていままでの地上波放送の時間よりも早く(詳細は後日発表予定)、コマーシャルによる編集カットも少ない形で、もちろん無料でご覧いただけるのは「撤退・後退」ではなく小さな前進だと僕はとらえたいと思っている。
いま国内の地上波での深夜枠はバラエティーやクイズ番組、トーク番組がたれ流されていて、F1に限らずスポーツ中継がそこに“割り込む”余地がなくなりつつある。ワールド・チャンピオンシップの放映権料は高額であり、番組単価でいえばスタジオ内で製作できてしまうバラエティーなどとはくらべものにならない。また背景にはF1中継番組の提供スポンサー、全国ネットでカバーしてきた企業が次々に消えていき、民間商業放送局としてはとてもシビアな情況が生まれていることもある。
ご存じのように日本放送協会も月額料金を支払って観る“有料放送”だ。FOM側が世界各国各テレビ局に基本的に要求しているのは、その国内全域において無料での生放送(あるいは同日遅延放送)であり、全戦一括の契約とされている。これはテレビマンでなくても相当に高いハードルだと理解できる。
もしこの契約にノーと言ったら交渉は頓挫する。他局が手を上げていたのかどうか僕自身は全く知らないが、そこが初めて彼らと交渉のテーブルにつき暗礁に乗り上げてしまったらどうなるか。この国からF1テレビ中継は消えてなくなり、1980年代以前に戻ってしまうことは容易に察しがつく。
長くかかわってきたからではなく、現状をポジティブに受け止めればCS中継は不変のまま続き、そして地上波ではなくてもBSデジタル時代で普及してきたBS放送によって、より見やすい時間帯に無料で視聴可能となることは、決して悪い話ではないはずだ(個人的にはいまのところそう思っている)。
今後、具体的に公表できる時が来たら僕自身の活動を含め、ここでF1LOVERSの皆さんにお知らせしていきたい。
──「それでもF1は続きます」からどうか今シーズンもあらためてサポートをお願いします。
今宮 純